刑事バディものは良い。

本作を読んでしみじみとそう思った。

先輩刑事と後輩刑事がコンビを組んで事件を解決していく。

ただそれだけなのに、なぜこうもバディというものに魅力を感じるのだろう。

その魅力を言葉に表すなら、刑事二人の間に芽生える互いの信頼関係、そして先輩に憧れ、自分も先輩のような立派な刑事になりたいとひた向きにつき進む後輩の姿、あるいは、そんな憧れの先輩がふっともらす、後輩への熱い信頼などなど。

バディものには尽きない魅力がある。

と、バディものについてつい長々と語ってしまったが、
ともかく本作を読み、筆者は刑事バディものの魅力に目覚め、ハマってしまった。

本作『刑事継承』は、筆者はこちらはまだ未読だが同じ著者の「ニ係捜査シリーズ」の前日譚にあたると考えられる。

そしてなんと、その「ニ係捜査シリーズ」で本作の登場人物が活躍するようなのだ。本作を読み終わり、その事を知った時、いっこくも早く「ニ係捜査シリーズ」を読みたい!と強烈に思った自分がいた。

それくらい筆者は、本作をきっかけとして刑事バディものにハマってしまったのだろう。

ニ係捜査シリーズの順番

ついでなので、「ニ係捜査シリーズ」の順番も書いておこう。

シリーズは現在6巻まで出ていて(2025年12月現在)、順番は以下の番号順になる。

①宿罪
②逆転
③ゴースト
④潜伏
⑤独白
⑥真贋

※ちなみに、本作『刑事継承』は時系列的にシリーズの前日譚にあたるので、最初に読むか、あとから読むかは好みがわかれるところだろう。
時系列はそろえて読みたいという方は、本作『刑事継承』から読むのが良いと思う。 

前置きが長くなってしまったが、ここからは本作『刑事継承』の内容についてみていく。

あらすじ

本作は、ベテラン刑事・後輩刑事がコンビを組んで事件を解決していくという、いわゆるバディものであることは先程書いた。

そんな本作の主人公となる刑事が属するのは、警察の部署のなかでも、殺人二係という場所で、そこは通称「遺体なき殺人事件」と呼ばれる事件を追う部署だ。

「遺体なき殺人事件」とは、殺されたと疑わしいが遺体は発見されていない事件のことをいい、そこが他の刑事小説と本作が少し違うところだ。

通常の事件捜査は、遺体が発見されてから捜査を開始するが、本作で扱う事件は「遺体が発見される前」から捜査を開始するため、
疑わしい被疑者とその周辺を徹底的に調べ、証拠をかため、いかに自白に追い込むかというのがメインになる。

警察の取り調べで自白というと、どうしてもひと昔前の自白強要やいわゆる冤罪が思い浮かんでしまうが、本作はそこらへんバランス良く描かれていて、すんなりと物語の世界に没頭できた。

面白かった点

被疑者との緊迫したやり取り

罪を隠したい被疑者と、なんとかして自供を引き出したい刑事側とのその緊迫した駆け引き・腹の探り合いも本作の魅力だ。

映画でいう『十二人の怒れる男』や日本映画だと『キサラギ』に代表されるような密室推理劇のような様相を呈しており、ハラハラしながら楽しむことができた。

同時並行で進む2つの物語

本作の特色としてあげられるのが、いわゆる本作は物語の構成として、群像劇に近い構成を取っており、事件を追いかける警察側の視点だけでなく、事件に巻き込まれた側の人物の視点でも物語が描かれていることだ。

一見関係がなさそうな2つ物語が同時並行で進んでいき、その2つが徐々にジグソーパズルのようにぴったりと合わさっていく感じが面白く読めた。

登場人物がそれぞれ魅力的

本作は同時並行で別視点の2つの物語が進行していくと先程書いたが、そこに登場する刑事以外のキャラクターもそれぞれ魅力的だ。

特に筆者は、もう一つの物語で主人公のポジションにいる少し気弱だけど芯の強い、相川というキャラに魅力を感じた。なんなら、物語の序盤から中盤にかけては、刑事側の話よりもむしろ、相川たちの物語が今後どうなっていくのかが続きが気になっていたぐらいだ。

もう一人魅力を感じたのが、根来(ねごろ)という人物で、彼は暴力組織のいわゆるフロント企業の社長をしていて、その他にも手広く事業を展開している。

この根来というキャラは、頭の切れる人物で、なかなか尻尾をつかませず、警察の取り調べにものらりくらりとかわし、結局、不起訴で釈放になったりして、その食えないキャラクターぶりが、良い敵役というか、なかなか良かった。

話は少しずれるが、シャーロック・ホームズでいうモリアーティ教授のような魅力的な敵役がいるかどうかというのは、物語の面白さをかなり左右すると思う。

おわりに

なんとなく書店でタイトルが目に止まって、読んでみた本作だったけど、はからずも面白くてハマってしまった。

著者の小説を読むのは本作が始めてだった。
本作の登場人物が活躍するニ係捜査シリーズも引き続き読んでいきたい。

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