本作『触身仏』は、蓮丈那智シリーズの第2弾になる。
シリーズの全般的な感想については、前回(リンクを入れる)の1巻の記事で書いたので、今回の記事では、細かな感想をあれこれ書いてみたい。
目次
感想
三國がキョンにみえてきた
民俗学教授、蓮丈那智に、その助手、内藤三國が振り回されるのは、もはや本作のお決まりのパターンと化しつつあるのだが、
ふと、そんな内藤三國のぼやきを読みながら、かの有名ライトノベル『涼宮ハルヒの憂鬱』はじめとする『涼宮ハルヒシリーズ』を思い出した。
メインヒロイン、ハルヒの無茶苦茶っぷりに、ぶつぶつ言いながら振り回される主人公、キョン。
以下は、ハルヒではなく、本作『触身仏』の一節だが、
人はしばしば、理不尽の壁を前にして立ち竦まねばならぬことがある。そうすることによってのみ切り開かれる真実と未来は、確実に存在するし、それを否定できるほど、内藤三國のこれまでの人生の道のりが平坦であったわけではない。
問題は理不尽の頻度の問題ではなかろうかと、最近しきりに思うのは、
引用:北森鴻『触身仏〜蓮丈那智フィールドファイルⅡ〜』(角川文庫)p131
お決まりのパターンに読者としてニンマリとしつつ、ふと、涼宮ハルヒシリーズの主人公、キョンを思い出し、内藤三國のぼやきがCV.杉田で脳内再生されたのであった。
全然関係ないけど、声優の杉田智和さんって、こういう一人語りが多い系の主人公と相性が良いと思う。涼宮ハルヒしかり、無職転生しかり、佐々木とピーちゃんしかりetc。
狐目の活躍
第1巻では、出番は少ないながらも教務担当として、そこはかとなく存在感を発揮していたのみだった狐目だが、今回の第2巻『触身仏』では、目立った活躍ぶりを発揮している。
「予算の問題ならわたしがなんとでも処理できる。けれど相手が教授会となると、もうどうにもできないのですよ」
引用:北森鴻『触身仏〜蓮丈那智フィールドファイルⅡ〜』(角川文庫)p45
これまでは、ただの口うるさい教務部の予算担当として、毎回、三國の胃痛の種でしかなかった狐目だが、本作では、そんな狐目の新たな一面が明かされる、なかなか熱い展開となっている。
さらに狐目は、実は、過去に民俗学界のさる大物研究者の後継者とも目されたほどの実力者であったことが明かされたり、
それほど研究者として有望視されながらも、どうして今は、一線を離れてしまったのか…は明かされないが、それとなく過去に何かあったことを匂わせる描写が描かれたりしている。
「知っているさ。いや、知りすぎている……くらいだよ」
激情を押し殺しながら語る狐目の言葉の裏に、かつて研究者であった彼が被ったかもしれない、悪意と絶望の源を見た気がした。
引用:北森鴻『触身仏〜蓮丈那智フィールドファイルⅡ〜』(角川文庫)p171
本作『触身仏』では、サブキャラから準レギュラーとして昇格をとげた狐目。今後、そんな彼の過去編が明かされることがあるのか。今後の展開に期待したい。
三國の成長
これまで那智とともに、数々の難事件に立ち向かってきた三國だが、そのかいあってか、さすがに2巻目ともなると、民俗学研究者とは別ベクトルの成長を遂げている(これは良いことなのか…悪いことなのか)。
あの異端の民俗学者、那智をして「勘のよい探偵助手」と言わしめるほどだ。
「いや、すまない。すっかり勘の良い探偵助手に育ってくれたものだと、ね」
「本来は、民俗学者の卵なんですがねえ」
引用:北森鴻『触身仏〜蓮丈那智フィールドファイルⅡ〜』(角川文庫)p165
まぁ、那智先生が「優れた民俗学者はすべからく優秀な探偵でなければならない」とおっしゃってることですし…。
「いやいや、優れた民俗学者はすべからく優秀な探偵でなければならない。その意味では、君も立派な有資格者だと思うよ」
引用:北森鴻『触身仏〜蓮丈那智フィールドファイルⅡ〜』(角川文庫)p165
ともかくそんな感じで、第2巻にして、探偵としての能力もなかなか様になってきた内藤三國であった。
研究室に新キャラか…?
これまでは、那智が、いつものごとく、予算がないのにフィールドワークに出かけると言い出し、それに助手の三國が振り回されるというお決まりの展開だったが、本作では、一番最後に収録されている話『御蔭講』にて、その構図がいったん崩れている。
なんと、那智研究室に、新たな助手が加わることになったのである。
彼女の名は、佐江由美子(さえ ゆみこ)という。彼女は、作中にて今話題の売れっ子歌手と瓜二つの見た目をしていて、本人は双子の姉だと言っているのだけど…といった謎のある人物でもあるのだが、那智が雇うだけあって、助手として優秀で、三國が毎回のように悲鳴をあげながらもなんとかこなしていた、雑事をテキパキとこなし、それだけでなく研究者としても申し分ないという、これまた三國の出る幕がなくなるほどの人物なのである。
そして、言わずもがな、そのことで、これま三國は心を痛めるのであった。
彼女が、那智の研究室に入るにあたっては、何かとひと悶着あって、そのことが、彼女の初登場回の物語の中心となるのであるが。
うーん、、、筆者個人としては、自由奔放な那智と、それに振り回される三國という構図は好きだったんですがね…。
今後、今回の新キャラがレギュラーメンバーに加わるとなると、ちょっと物語の流れがこれまでとは変わりそうで、今後どうなるか、といったところ。
おわりに
なんやかんやで当シリーズにハマってしまったようで、あっという間にもう第2巻まできてしまった。シリーズはまだまだ続くようなので、今後も読み終わり次第、感想を書いていきたい。
