本記事では以下の疑問にお答えします。

イライジャ・ベイリとその相棒ダニール・オリヴォーが登場する「鋼鉄都市シリーズ」を中心にアシモフ作品を楽しみたいけれど、

「ファウンデーションシリーズ」や、その他の「ロボットもの」との繋がりもあると聞くし、いったいどの順番で読むのが良いのだろうか…。

ロボットシリーズの順番

結論から言うと、以下の順番で読めば大丈夫です。

①鋼鉄都市
②はだかの太陽
③SFミステリ傑作選 風見潤編
(※ここは飛ばしても本筋には支障はない。詳しくは後述。)
④夜明けのロボット
⑤われはロボット
⑥ロボットの時代

⑦ロボットと帝国
⑧宇宙の小石
⑨暗黒星雲のかなたに
⑩宇宙気流
⑪ファウンデーション 1巻〜3巻
⑫ファウンデーション 4巻〜7巻

上から順番に読んでいけばOKです。

上記の順番をすすめる理由

とはいったものの、いきなり順番だけ示されてこれで大丈夫だとか言われても不安だと思うので、なぜこの順番なのかという理由もきちんと説明していきますね。

まず、読む順番を考えるために、前提として以下のことを押さえておく必要があります。

それは、「鋼鉄都市シリーズ」と「ファウンデーションシリーズ」はもともとはまったく別の作品群として描かれていたということです。

しかし、途中からアシモフは「ファウンデーションシリーズ」の物語の整合性をきちんとさせるべく、ロボットものの短編、そして長編である「鋼鉄都市シリーズ」の世界観との融合を試みることになります。1

以上のことをふまえた上で、順番に解説していきます。

まず、イライジャ・ベイリとダニール・オリヴォーのコンビが活躍するシリーズは、通称アシモフのSFミステリ三部作といわれる以下の3冊になります。

SFミステリ三部作

・鋼鉄都市
はだかの太陽
夜明けのロボット

『鋼鉄都市』から入った人は、この「鋼鉄都市→はだかの太陽→夜明けのロボット」の順番で読まれることと思いますが、ここは特に問題ないかと思います。

ちなみに『夜明けのロボット』がイライジャ・ベイリとダニール・オリヴォーのコンビが中心となって活躍するシリーズとしては一応最終巻となっています。

それでは話を戻しましょう。
問題となるのは、この『夜明けのロボット』の次に何を読むか?です。

まず候補として挙がるのが、『夜明けのロボット』の物語から約200年後を描いた『ロボットと帝国』です。この『ロボットと帝国』では、ダニールやジスカルドなどおなじみのキャラクターも登場しますし、深く考えずとも『夜明けのロボット』を読み終えたらそのまま読み進んでも良いのですが、私は『ロボットと帝国』を読む前に、ロボットもの短編集である『われはロボット』とその姉妹編の『ロボットの時代』を先に読まれることをおすすめします。その理由としましては、そもそもの「鋼鉄都市シリーズ」自体がこのロボットものの短編をもとに生まれた作品だということと、『ロボットと帝国』の物語は短編集の内容とも関連しているからです。なので先に短編集『われはロボット』と『ロボットの時代』を読んでおいた方が物語に対する理解も深まりますし、より楽しめると思うのです。

以上のことから、『ロボットと帝国』へ進む前に、先に

ロボットもの短編集

・われはロボット
・ロボットの時代

を読まれることをおすすめします。

そして、「われはロボット→ロボットの時代」へと進み、いよいよ

『ロボットと帝国』

を読み終えたら、

次に読むのがおすすめなのが「ファウンデーションシリーズ」の時代よりも以前の時代を描いた2以下の三作です。

ファウンデーションシリーズ前史 三作品

宇宙の小石
・暗黒星雲のかなたに
・宇宙気流

「ファウンデーションシリーズ」に入る前に上の三作を読んでおくことで、「鋼鉄都市シリーズ」から「ファウンデーションシリーズ」への繋がりがよりスムーズとなり、物語の世界に入っていきやすいかと思います。

補足

さきほど、上記の順番の内、③『SFミステリ傑作選』(現在は絶版)に関しては飛ばして読んでしまっても支障はないと書きました。それはなぜなのかを詳しくみていきます。

この『SFミステリ傑作選』の中に収録されている、「ミラーイメージ」という短編でベイリとダニールが登場するのですが、時系列でいうと『はだかの太陽』と『夜明けのロボット』の間の出来事となっていて、内容は物語の本筋には直接関係しない小事件となっているからです。ようはサイドストーリー的な位置付けなので無理して順番に読まなくても大丈夫というわけです。とは言ってもファンとしては、なんとしても読みたくなりますが…。

ちなみにこの短編「ミラーイメージ」ですが、アシモフのロボットものの短編を1冊にまとめた『コンプリート・ロボット』でも読むことができます。(ただし、こちらも絶版です…。)

刊行順で読むという方法も

ここまでで読む順番について述べてきましたが、あれこれ小難しいことを考えずとも、シンプルに刊行順で読むという方法もあります。

以下に刊行順にまとめておきます。

刊行年(原書)タイトル
1950宇宙の小石
1950われはロボット
1951ファウンデーション
1951暗黒星雲のかなたに
1952宇宙気流
1952ファウンデーション対帝国
1953第二ファウンデーション
1954鋼鉄都市
1957はだかの太陽
1982ファウンデーションの彼方へ
1983夜明けのロボット
1985ロボットと帝国
1986ファウンデーションと地球
1988ファウンデーションへの序曲
1993ファウンデーションの誕生

脚注

  1. アイザック・アシモフ『夜明けのロボット』下 (ハヤカワ文庫) 解説 ↩︎
  2. アイザック・アシモフ『宇宙の小石』(ハヤカワ文庫) 解説 ↩︎

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