表紙と最初の一文であらすじもよく分からずにジャケ買いした本。
面白かった。
ドロドロ系かと見せかけて、最後は意外と爽やか。ミステリーあり、アクションありで、終盤は熱い展開もあって、しっかりと物語を盛り上げる。そんな作品だった。
表紙とタイトルだけでは、どんな内容か分からない。知りたいって人も多いと思うので、簡単にあらすじを書いておく。
あらすじ
本当にざっくり言ってしまうと、最近ニュースなんかでよく見かける「特殊詐欺」や「闇バイト」を生業としている組織に対して中学受験を間近にひかえた子供を持つ主婦たちが立ち向かうみたいな話。なので題材としてはとてもトレンディ。
もちろん、ミステリー要素もあり。
面白かった点
以下、面白かった点についてそれぞれ書いていく。
主人公陣営に頭の切れるキャラがいる点
本作はあらすじでも書いた通り、普通の主婦たちが「特殊詐欺」グループに立ち向かうという話だ。
そもそものキッカケは、主婦仲間のうちの一人が、闇バイトのトラブルに巻き込まれることに始まる。
組織から大金を要求されたりと、話がヤバい方向に転がっていくのだけど、ここで主婦たちの中に一人頭の切れる人物がいるのがとても心強い。
相手は特殊詐欺を生業としているプロ。それに対するは、ただの主婦。通常なら、ここで相手の言われるがままになってしまうところだが、そうはならないのが本作の面白いところだ。
それは『彼女たちの牙と舌』という本作のタイトルにも表れている。
二転三転する展開
本作は随所々に「え!?」と読者の意表をつく展開が挟みこまれており、最後まで飽きさせない。
そして、物語が進むごとに少しずつ明らかになっていく登場人物たちの関係性や、意外な真実に目が離せなくなってくる。
緻密に張り巡らされた物語上の仕掛け
本作の特徴として、伏線が緻密に張られており、全部読み終わった後に再び戻って読み返すと、「ああ、この部分はそういうことだったのか」と分かるようになっている仕掛けがあって面白かった。
一度読み終わったらもうおしまいではなくて、二度美味しいというのはお得感があってとても良い。
敵役だけど、読者に愛着を持たせるキャラクター描写
本作は特殊詐欺グループの人物も登場する。一応悪事をはたらく敵役なのだけど、どうも憎めないというか、敵役ながらも、一人の人間としてきちんと描かれていて、読者としてもつい愛着を持ってしまう。
単なる悪役として描くのではなく、多面的に描いていて、それがまた物語の面白さのスパイスとなっていると感じた。
おわりに
ドラマか映画かわからないけどそのうち映像化しそう、と予想。
題材としてもトレンディだし、エンターテインメント性も高い。
ただ、本作は文章を使ったトリックが物語上、重要だったりするので、映像化するとしたらそこをどう映像で表現するかがネックになりそうだ。
本作の作者、矢樹純さんの作品を読むのは本作がはじめて。別の作品も読んでみたい。

