八目迷『きのうの春で、君を待つ』のネタバレ感想とあらすじを書いていきます。
前作『夏へのトンネル、さよならの出口』と同じく「時」が物語に関係しています。
※核心部分のネタバレは避けています。
目次
あらすじ
家出
田舎から東京に出てきて父親と暮らしていた主人公は、親父と喧嘩して、家出します。
家出先は、東京に引っ越す前に住んでいた袖島(そでしま)という田舎の離島です。
主人公は中学までは袖島にいたのですが、高校からは、東京に住んでいた親父の誘いもあり、東京の高校に通っていました。
主人公は2年ぶりに袖島へ帰ってきたわけです。
外を歩いていた主人公は、偶然、幼馴染の保科(ほしな)あかりと再開します。
あかりと主人公は久々に話をします。
あかりとわかれた後、主人公はあてもなく島の散策を続けます。
タイムリープ
散策を続けていた主人公は、気づけば人気(ひとけ)のない古い路地に来ていました。
さらに奥へ進んでいくと、古びた小さな公園にたどり着きます。
その公園には、一本の大きな桜の木がありました。
その木の後ろ側に回り込んでみると、古びた祠(ほこら)を発見。
興味を惹かれ、その祠の中をのぞいてみると、亀裂の入った石がありました。
その石に指先をふれた瞬間、主人公の意識はプツリと途切れます。
彰人を救え
意識が戻った後、主人公は、あかりの兄である彰人(あきと)が死んだとつげられます。
「ま、待て待て。冗談だろ? 彰人なら今日、港で見かけたぞ」
引用:八目迷『きのうの春で、君を待つ』(ガガガ文庫)p44
主人公が彰人を見かけたのは、4月1日。
そして今も4月1日のはず。
しかし、奇妙に思い携帯のホーム画面を確認すると、画面の日付は4月5日を示していました。
なんと主人公は、4日間の記憶が抜け落ちていたのです。
彰人のお通夜を終えた後、主人公はあかりから自分がタイムリープしたことを告げられます。
そして、「兄を救ってほしい」とも。
そして、主人公はタイムリープを繰り返し、彰人を救うために奔走することになるのですが、しだいに思いもよらない事実が明らかになっていきます。
それによって主人公は、苦悩し、葛藤します。
その先で主人公が選んだ選択とは_。
感想
終盤の怒涛の展開
終盤の盛り上がりがすごくて、特に230ページぐらいから最後までは一気に読んでしまいました。
それくらいグイグイ読ませる展開ですごかったです。
最後まで、結末がどうなるか読めなかったです。
散りばめられた伏線
序盤あたりから、伏線や謎が散りばめられており、え?これってどういうことなんだろう…。と、ミステリーやサスペンスを読むときのように、謎の答えが気になるお話でした。
あらためて読み返してみると、前半部分で、新たな気づきがあったり、後の展開を知っているとニヤリとできる部分があったりして、面白かったです。
個人的には前作の方が好き
筆者的には、前作『夏へのトンネル、さよならの出口』の方が、ヒロインや展開も含め好みでした。
ただ、今回の作品も前作と共通して、キレイな終わり方で、後味が悪くないのは好きです。
終わりに
あらすじで本作はタイムリープものと書きましたが、通常のタイムリープとは少し違った趣向を凝らしてあり、新しいと思いました。
『夏へのトンネル、さよならの出口』を読んで興味を持った方、もしくは時間が関係した話が好きな方、読んでみて損はない作品だと思います。